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名称:ファブラボ鎌倉
場所:神奈川県鎌倉市扇ガ谷1-10-6 結の蔵 壱号室
URL:http://www.fablabkamakura.com/

施設の設置目的

ファブラボのコンセプトは『ほぼなんでもつくる』という考えであり、だとすれば新しい仕事も作れるのではないか、もっと身近な仕事を作り、暮らしながら仕事をするような新しい生き方が実現できるのではと代表の渡辺ゆうか氏が考え、慶應義塾大学の田中浩也氏とともに国内最初のファブラボを立ち上げた

 

施設の設備、備品、その他通信や飲食提供などの環境

  • Wi-Fi
  • レーザーカッター、3Dプリンター、ミリングマシン、ペーパーカッター、デジタルミシン
  • はんだごて、アナログ工具各種
  • ディスプレイ

 

施設の利用者

幅広い年齢層で、バックグラウンドも様々であるが、曜日によって傾向がある。
例. 週末は、中学生、会社員、革職人の方、平日はリタイアしたエンジニアの方が多い。

 

当該施設利用者が、現地で行えること。利用者の過去の実績など

  • 各種講座

[ファブラボ入門講座]
ファブラボ/ファブラボ鎌倉の活動の説明、機材のデモ。
費用:1人あたり2,000円

[朝ファブ]
毎週月曜の朝に、ラボの掃除等メンテナンスに協力した方が無料で機材の利用が可能。
費用:無料

[3Dモデリング講習会]
3Dプリンタや3Dデータを作成するためのモデリング技術についての基礎的なスキルの体験。
費用:1人あたり3,500円

[FAB 基礎講座]
3Dプリンタ、レーザーカッターなどのデジタル制御された工作機械の基本操作など初心者のためのFAB入門プログラム。
費用:1人あたり85,000円 (テキスト/ 教材費 / デジタル工作機械使用料含む)

[FAB ACADEMY]
FAB ACADEMY※のホストをしており、受講することができる。
http://fabacademyjapan.org/
ファブラボが誕生する契機となったMIT(マサチューセッツ工科大学)のニール・ガーシェンフェルド教授による「(ほぼ)なんでもつくる方法」という講座。ボストンと50ヶ国600カ所以上の世界のファブラボがリアルタイムでつながり、19週間のカリキュラムで実施される。
FAB ACADEMYの受講料は1人あたり5,000USD

  • 外部と連携したプロジェクト
    例. FUJIMOCK FES
    http://www.fujimockfes.org/
    株式会社ホールアースと連携し、富士山の間伐材でアイデアをかたちにするワークショップ。
  • プロダクト開発の実績例:ファブラボ鎌倉コワーキングメンバー
    「IRKit」
    http://getirkit.com/
    外出先からスマートフォンを使って家電を操作できる、オープンソースな赤外線リモコンデバイス。
    面白法人カヤック在籍中に大塚雅和氏が開発を開始し、退職後にカヤックから譲渡を受けファブラボ鎌倉を拠点に開発を継続。市販もされ1万台以上売上げている。

 

施設が所在する周辺地域、日本国内、及び海外の他ファブ施設との連携実績

周辺地域の中では、スキルアップにフォーカスした役割を担う。
導入や周知はFabCafe、プロダクトやマーケットを意識するのはテックショップやメイカースペースなど。その橋渡しとなるように、共同でイベントを開催するなどしている。
また、福岡雙葉学園(スーパーグローバル認定校)のアドバイザーを務めており、夏の研修、台湾にある校内にファブラボをもつ高校(新北市立中和高級高校)との橋渡し役をするなど国内外の教育機関との連携がある。
さらに、2015年12月には慶應義塾大学ソーシャル・ファブリケーション・ラボ、スタンフォード大学と協働して、FabLearn Asia 2015※ の実施。
http://www.fablearnasia.org/

 

施設を維持する収益構造

  • 教育事業が20%
  • 企業のコンサルティング、企業研修、立ち上げサポートが80%

 

施設の管理者、特にマネージャーの役割、当該者の経歴、得意分野

代表の渡辺ゆうか氏は経営、外部とのコラボレーションを中心に行う。
多摩美術大学の環境デザイン学科を卒業した後、都市計画事務所やデザイン事務所で働いた後、2010年に『世界を変えるデザイン展』で慶應義塾大学の田中浩也氏と出会い、そこからファブラボ鎌倉の立ち上げに参画。スタッフの経歴と役割は以下。

  • 前職で電機メーカーにてガス機器の営業・サポートを行う。退職後アムステルダムのファブラボでファブアカデミーを受講し、技術や知識を習得。その後ファブラボ鎌倉にてエンジニアリング担当として参加し、主に利用者のサポート、講座の講師、機材のメンテナンス、ファブラボ鎌倉の活動に付随する設計/制作活動を行いつつ、自身のものづくりも行う。特に、利用者の予期せぬエラーやうまくいかない事に適切に対応するには、自身にも多くのエラーや試行錯誤の蓄積が必要で、決まったことを教える講師とはまた違うスキル。その重要な役割を担う
  • 専門学校桑沢デザイン研究所にてプロダクトデザインを専攻したのち、新卒でファブラボ鎌倉に参加(FUJIMOCK FES のイベントに参加することでファブラボ鎌倉と接点を持った)。主に基本講習の講師、オープンラボ時の場のファシリテートを行う。全てをこちらからもてなすのではなく、利用者同士の教え合い/学び合いを促進させる
  • 前職でジェットエンジンの設計をしており、高度な設計技術、CAD知識を有している。主に3DCADに関するアドバイス、サポートを行う(例.3DCAD講座の内容へのアドバイスやレビュー)

 

運営者、又は管理者の感じる施設の課題

  • 安定したファブラボの収益モデルをどうつくるか

 複数の収益の形を持っていないと、持続可能とならない。また、ファブラボは地方にいくほど利用料が安価または無料となりがちの現状がある。ファブラボ鎌倉は自主企画やオンライン講座など様々に展開しているが、鎌倉の値段を基準にして、そこをスタンダードにしていきたい

収益にどう結びつけるかは常に課題。収益化は難しいがファブラボ鎌倉として取り組むべきこともあり、そこのバランスは常に話し合っている

 

レポート

鎌倉という土地柄、ファブラボの関係者はアカデミックな人が多く、先端の研究や事例に携わりやすい。一方で、社会的な土壌や理解はまだ十分では無い。そこの間を埋めて、ビジネスやマーケットを意識しながら、スケールしていける大きな枠組みづくりを模索することを大きなミッションとしていた。

インフラとしてのデジタルファブリケーション、インフラとしてのファブラボネットワークという目線で試行錯誤されており、そこは他のファブ施設にはない大きな特徴であると同時に、そこから得られる知見は特に貴重であると感じた。

また、松江市の場合、Ruby City Matsueプロジェクトによって産だけでなく学や官においてもソフトウェアに対するリテラシーが高い。そのようなソフトウェア先進地にファブの要素が交わることに対して大きな可能性を感じるという意見にとても共感した。

 

運営者

一般社団法人 国際STEM学習協会

 

(2016年8月現在)