しまねソフト研究開発センターでは、株式会社八束電工と「電気配線図における電気器具の抽出」というテーマで共同研究を行いました。以下、この取り組みについて、当社からのレポートを紹介します。

1.共同研究概要

◆共同研究の題目
 業務効率化に向けた電気図面データにおける画像認識技術適用の検証

◆共同研究の目的
 電気図面上のシンボル(記号)を画像認識技術を用いて自動抽出し、その精度を確認する。

2.研究実施期間

令和元年7月24日 ~ 令和元年12月31日

3.共同研究の成果から得られたこと、分かったこと

工事の見積書を作成する過程において、電気配線図からシンボル(器具)の数を手作業で数える作業があり、画像認識技術と機械学習による作業の自動化について実用の可能性があると考えられる。

実施内容

  • 電気器具の画像抽出

サンプル図面80枚から抽出対象のシンボル(器具)を切り抜き、学習用の画像を作成。また、学習には抽出対象以外の画像も必要なため、抽出対象が含まれない画像も作成した。
(抽出対象:699枚、抽出対象外:225枚)

  • 機械学習(画像認識)の検証

1)画像処理用ライブラリOpenCVを用いて、抽出対象の器具を検出するための学習を実施し、図面中にある抽出対象の器具が検出できることを確認できた。
しかし、誤検出も多く含まれており、抽出対象と類似する形状のものも多く抽出された。

2)1)の結果、抽出対象のシンボルと類似した形状のものが誤検出されるため、機械学習ライブラリTensorFlowを利用し、正しく抽出できた画像と誤検出の画像を集め、機械学習を用いて自動で誤検出を識別させることを検証した。
学習の結果、95%の精度で誤検出を識別できることを確認した。

3)学習に使用した図面とは別に3種類のテスト図面を用意し、1)2)の学習結果を用い、抽出対象のシンボルが正しく検出できるかの検証を行った。

※テスト検証で利用した図面については、実際の建築図面を使用し外部への公開ができないため、検証結果と使用した図面の種類のみ公開いたします。

【テスト1】一般家屋図面

 凡例の記号等も抽出し、実際に抽出すべき対象より多くの記号を抽出する結果となった。

抽出すべき数 機械学習による抽出総数
52 115


【テスト2】店舗図面

 電気配線の背面に建物の線が多く入っており、対象記号の抽出数が少なくなっていると考えられる。

抽出すべき数 機械学習による抽出総数
69 88

【テスト3】手書図面

 手書きの記号は形が整っておらず、正しく抽出できなかった。

抽出すべき数 機械学習による抽出総数
34 0

わかったこと

  • 基本的な図面における記号の抽出は自動化可能であると考えられる。
  • 100%の検出は難しいが、今後データを蓄積させることで精度の向上が期待できる。
  • 手書き図面における記号の抽出は、手書きの図面から学習データを作成する必要があるため、難易度が高い。

4.今後の事業方針

研究成果をもとに実用化を目指し、積算・発注時の図面からの拾い出し作業の効率化を図っていき、将来的には、図面から見積作成・材料手配等の手作業による作業をすべて自動化し、生産性の向上につながるシステムの構築を目指していきます。

5.担当研究員コメント

しまねソフト研究開発センター 専門研究員 木村 忍

機械学習の利用において、一つのモデルで高い精度の予測や識別ができるとは限らず、むしろ複数のモデルを積み重ねることが効果的なことがよくあります。
図面内のシンボル(器具)の抽出という作業は人にとっては単純な作業かもしれませんが、ソフトウェアで自動化する時には今回のように結果のデータを更に別のモデルで学習するという考え方も重要だということが改めて認識できました。

お問い合わせ先

公益財団法人しまね産業振興財団 しまねソフト研究開発センター(ITOC) 担当:渡利
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