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パネルディスカッションレポート(3)

パネルディスカッションの様子(3)

金融機関から新規ビジネスを立ち上げたい方へのメッセージをいただけませんでしょうか
山陰合同銀行
西 尾
ベンチャー企業、スタートアップの方と接することも多いのですが、想いが強すぎてかえって視野が狭くなっていると感じることもあります。もしかすると違う方向に走っていて、気づいたら後戻りできないこともあります。こういう時、身近にいる金融機関を使って欲しいと思います。この計画で事業が回るかどうかとか、あそこと組んでみたいがどうかとか、なるべく早い段階からご相談をいただけると、金融機関だと厳しいことも言うかもしれませんが、適切なアドバイスをしてくれると思います。
 もう一つ感じていることは、専門的な技術の知見を持っている企業と金融機関ではその情報量には大きな乖離があります。金融機関としては、もう少しわかりやすい言葉で、その技術の特徴、そしてそれが具体的にどのような形で世の中に売れていくものなのか、イメージがつかめるように説明をお願いしたいです。金融機関側の努力は言うまではありませんが、ベンチャー企業も専門的なことを誰にでもわかりやすく理解できるように説明する準備を行って欲しいです。銀行も預金者のお金を預かっていますので、その技術やその技術がどのように市場に広がっていくのかなど、納得ができないと資金をお出しすることが難しいということもご理解いただければと思います。
島根銀行
清 水
 先ほども話にありましたが、専門的な分野になればなるほど事業者と金融機関の知識の乖離が広がります。金融機関側も支援したい気持ちがあっても、その事業が世の中にどう役に立ち、どう事業化につながるかなど、ある程度道筋が見えてこないとなかなか支援をしづらい。早い段階から相談をすることも一つでしょうし、(公財)しまね産業振興財団、しまねソフト研究開発センターなど外部機関を積極的に使って、その中でいろんな情報も得ながら事業構築を行うことも有益だと思います。
いかに上手にかみ砕いて金融機関にもご説明いただけるか、そして、熱意、情熱、想いなども大切です。めげない、へこたれない、何回も挑戦する気落ちなどがあると、金融機関としても応援のしがいがあるという気持ちになるものと思います。

 

 

今後、(株)ERISAに期待したいことをお聞かせ下さい
島根銀行
清 水
 (株)ERISAの取組みと事業への着眼点には期待しています。この事業が実現すると、認知症の予防、そして認知症になる方はもちろん介護をする立場の方の負担を減らすことができるものと大変期待しています。
メディカル・ケア・サービス(株)
中 本
 早期にT1画像のアルツハイマー予測の社会実装を実現し、これをもって国内はもちろん海外展開を進めていきたいです。私たちは認知症になることが悪いことだとは捉えていません。認知症が予測できるということは、将来の社会保障の課題もしくは国民の将来に対する不安の解消などの材料になるものと思います。そして、それ以上に、身の回りの人や家族が認知症になった時、一緒に暮らし続ける理解、ちょっとした手を差し伸べる力、そういったことも一緒に育んでいく必要があると考えています。
 (株)ERISAとやっていきたいと思った理由の一つに、(株)ERISAのメンバーがこの意思をしっかり持っていたこと、認知症になっても住みやすい街づくりをしていきたいとの話があったところに共感しました。
とっとりキャピタル(株)
岡 村
 まずは当プロジェクトを各アライアンス先としっかり進め、事業目的を達成していただきたい。また、(株)ERISAやその親会社である(株)エブリプランには、Iターン・Uターンで優秀な人材が集まっています。今後、次に続くスタートアップ事業も育てていってもらいたいし、島根のベンチャー企業のエコシステムをつくってもらいたいと期待しています。
(株)島津製作所
西 本
 医療画像のデジタル技術開発は国内外で競争が非常に激しい分野です。当プロジェクトにおいても、さらなる高度かつ先進的な技術の確立を期待しています。さらに言うと、このプロジェクトではいかに実証のスピードを上げていくか、データ取得のための連携体制をどのようにしていくかは重要であるので、これも強化していただきたい。デジタル医療の拡大に向けては、我々も一緒に考えていきたいです。
山陰合同銀行
西 尾
 技術が優れていることも大事ですが、(株)ERISAは事業をやり切る力があると評価しています。山陰は地域の特性か、何か新しいことをやろうとすると距離をおいて引いて見るということが多い。しかし、若い人たちはこれを許容する雰囲気もあるし、人材も育っていると思っています。(株)ERISAは、都会から松江に戻られてきた方が中心に取り組んでいます。ぶれずに頑張っていただきたいし、我々も引き続き応援していきたいと思っております。
(株)デジタルガレージ
豊 原
 投資したからには回収したいのはもちろんですが、決して短期的に回収することだけが目的ではないと考えています。(株)ERISAとは是非ロングタームで付き合っていきたい。特にシード期では、社会へ強いインパクトを出してもらうことが大切だと思います。プロダクトがあっても世の中に出ないと意味がありません。
 ヘルスケアについては、バイオテクノロジーにデジタルが絡んでいくことによって産業自体が変革期を迎えていると言えます。そして、そこにはビジネスチャンスがあります。それだけではなく、生活者にとってもよい社会になっていると思います。医療の面では、自分の健康情報を自分自身で持つことができていないことが多いですが、これでは自分の健康をどうしていきたいかを自分自身で選択することができません。自分の健康情報を自分自身で持つことができれば、健診に行くとか予防の対策を取るとか先手を打っていくことができます。実はこういったことがこれからは大事になっていくと思います。
 また、超高齢社会の日本では、認知症は非常に大きな問題です。ただ、認知症になったからどうだというよりも、認知症と共に生きていくためにはどうすればよいか、周囲の人間も含めて考えていくことが重要かもしれません。しっかりデータを活用できる社会にしていくためにもリテラシーが必要になってきます。今(株)ERISAがやっていることは社会的にもインパクトがあると思っており、我々も支援していきたいと考えています。