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インタビュー Interview

ITOC 野々村正仁 情報産業アドバイザー インタビュー

2020年07月13日

 

野々村アドバイザー02

 

島根発のオープンイノベーションによる新事業創出を図るため、ITOCではこれまでITビジネスの最前線で活躍されてきた野々村正仁氏を情報産業アドバイザーとして迎え、企業相談対応や各種プロジェクトの立ち上げ支援に携わってもらっています。

今回、野々村アドバイザーにインタビューを行いました。ビジネスにおける島根県の強みや可能性、新型コロナウィルスの影響でライフスタイルや価値観が大きく変化していく中で地方で生活する我々はどのようにビジネスを考えていけば良いか…。また、島根県内でITを活用した新しいサービスやビジネス創出を目指す方々へのメッセージなど、多岐に渡って語ってもらいました。

(インタビュー日:2020年7月7日)

 

これまでITビジネスの最前線でご活躍されてこられたと伺っていますが、どのようなご経験をされてきたのでしょうか

大学卒業後、(株)リクルートに入社し、通信技術チームで設計と構築に従事しました。企業内ネットワーク構築事業の立上げから携わり、最高売上が700億円の事業にまで成長しました。ヤフー(株)では、Yahoo! JAPANの立ち上げチームの一員として収益の大黒柱である広告事業に携わり、1億円から315億円/年へと初期の急成長を達成しました。またヤフー初のBtoB事業の立上げを行い黒字化に導きました。その後、IT人材教育の(株)アイテックのM&Aに携わり、代表取締役として赤字から黒字へのターンオーバーを実現しました。トランス・コスモス(株)に移ってからは、主に大手メーカー向けにITアウトソーシング事業を推進してきました。

島根に戻る前は、Googleの大手企業戦略担当チームの責任者として、PCからスマホへの転換、検索連動からYoutube動画との複合マーケティングへの転換を推進し、事業拡大に貢献しました。

なぜ島根へUターンすることになったのでしょうか。また、島根に戻られてからも東京とのお仕事をされていらっしゃいますが不便に感じることはありますか

実は40歳のタイミングでUターンし、島根で働こうと人生設計を立てていました。実際には10年遅れてしまいましたが実現することが出来ました。現在の、農業をしつつ企業訪問やテレワークで働くスタイルはとても気に入っています。

新型コロナウィルスでテレワークが注目され定着するようになってきましたが、私は東京のベンチャー企業の役員として4年前からテレワークを行っています。このコロナ禍で社会全体がテレワーク対応となったので、社外の方とのやり取りもよりコミュニケーションが取りやすくなりました。これで航空便ダイヤが元通りになれば特に不便は無いと思っています。

島根に戻ってからは、かえって都市圏では見えない日本の魅力や地方の活力など新しい視点が身に付き、戻ってきてよかったと本音で思っています。

ビジネスにおける島根県の強みや可能性についてどのようにお考えですか

島根県は元気な高齢者が生き生きと働く地域でもあり、かたや先端医療を受けられる先進地でもあり、観光や第一次産業などでもまだまだ発展の余地がある県だと思います。ITOCの情報産業アドバイザーとして、少しでもITを上手く利用することで島根県の産業の発展につながるよう寄与したいと思っています。

また、課題先進県というのはあまり好きな言葉ではありませんが、島根県で新しい事業モデルが成功すれば、日本の他の地方への展開も容易だと思っています。そういう意味では、何も“島根県ならでは”に固執する必要もありません。多くの地方都市で通じる課題解決や便利なサービスが出来れば、どんどん県外や国外に展開すべきだと思います。

 

野々村アドバイザー01

新型コロナウィルスの影響でライフスタイルや価値観が大きく変化していくと言われていますが、地方で生活する我々はどのようにビジネスを考えていけば良いでしょうか

テレワークが定着してみると、東京近郊に住む(通う)必要はなくなりました。同時に、出張もかなり減ると考えられます。移動することも、会議室を手配することも、関係者が一堂に会する必要も無くなります。つまり、働く人はどこに住んでもよくなるわけです。

となると、都市圏の仕事を地元である島根県で出来るわけです。そうなれば、例えば親子三代で暮らせる環境ができます。お子様が小さければ預けることもできます。また高齢になる親の様子も目に見えますから、適切なケアもできます。その上、東京の情報もリアルタイムに手に入ります。こちらに住む我々は、そういう方たちとコミュニケーションを積極的に行い、都市圏の企業との協業やサービス開発が可能になるのではないでしょうか。

都市圏のみの視野から日本の地方まで含めた視野に拡がることで、新しいサービスアイディアが生まれるのではないでしょうか。言い方は不適切かもしれませんが、都市圏の情報や知恵もうまく利用して、この地から新しい事業を生み出していくことが出来るチャンスが到来したと考えるべきだと思います。

しまねソフト研究開発センターではITを活用した新しいサービスやビジネス創出支援を行っていますが、これらを目指す方々へメッセージをお願いします

テレワークのような新しい働くスタイルが新たな事業を生み出します。例えばテレワークをしている人の人事評価システムや健康管理などの仕組みやサービスなどが考えられます。

DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉がキーワードにあるように、ここから新しい事業がどんどん生まれてきます。私も関わっていますが、行政サービスも役所に足を運ぶ前提からオンラインで出来るようになる。それも24時間365日申請可能と変わっていくでしょう。

ただ同時に、売上や利益などおカネのことを中心に語ってきた価値観からQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を基準軸にした価値観に変わっていくのではないかと私は考えています。QOLでは、幸せや生きがいなども大事な基準です。人が元気に長生きすることができて、自分の好きなことを最後の最後まで出来ることは、儲かる事より大事なことだと考える人は少なくないでしょう。

私も含めて、今までの価値観をいったん見直してみて、今までの行動パターンを前提にしないで、新しいビジネスを考えてみませんか?アイディアさえ出来れば、あとは実現に向けて我々も一緒に知恵を出します。あらゆる協力を惜しみません。
沢山の島根発信の事業をつくりましょう!

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