×閉じる
人材育成支援|レポート Human Resource Development Support

ITトレンド調査「日経×TECH EXPO 2018」(サイバートラスト株式会社)

2018年11月12日

視察者:サイバートラスト株式会社 塚田 美香

見学展示会概要

私がITトレンド調査として見学してきた展示会は、平成30年10月17日(水)〜平成30年10月19日(金)の3日間東京ビッグサイトで開催されていた「日経×TECH EXPO 2018」という展示会です。 

日経×TECH EXPO 2018 は、

  • エンタープライズICT 2018
  • クラウド Impact 2018
  • Security Solution 2018
  • IoT Japan 2018
  • FinTech & ブロックチェーン 2018
  • 人工知能/ビジネスAI 2018
  • 働き方改革 2018
  • デジタルヘルスDAYS 2018
  • デジタルものづくり 2018
  • 建設テック 2018

という10種類のイベントが1つの会場で同時開催される展示会でした。

この展示会は、これからの時代を勝ち抜く技術とビジネスが融合した最前線を体験できる「デジタルの祭典」ということで、幅広い分野での最新のソリューションを見てくることができました。

今回は、私が見学した 10月18日(木)、10月19日(金)の2日間の内容について報告します。

報告

展示会全体

各イベントごとに場所は決まっていたのですが、上からイベント名の看板が下がっているだけで仕切りなどはなく、自由に様々なイベントのブースを行き来出来るような会場の作りでした。商談ルームなども用意されていたため、気に入ったソリューションがあればその場で契約を行えるなど、この展示会は大切なビジネスの場なのだと思いました。ブースごとの特徴としては、ミニセミナーを開催している企業が多かった様に感じました。プレゼンテーションで人目を引いてそのままブースに誘導するという流れがメジャーなのだと思いました。プレゼンテーションを見てしまうとブースでの追加説明を断りにくくなる人が多いため、上手い誘導の仕方だと思いました。

業界トレンド

やはり、IT系のイベントということで、男性参加者が多かったです。また、ビジネスの場でもあるため、決定多くのブースで、「IoT」や「AI」という単語を耳にしたり、パンフレットにも多く記載されていたため、やはりまだこの2つのキーワードは注目が高いと改めて感じることが出来ました。また、”自動化”、”効率化”という言葉もパンフレットなどで多く目にしたため、どの分野でも単純作業は人間にさせないという流れがあることを感じました。人口減少が進んでいく日本では、今後ITの力を大きく頼る必要が出て来ているのではないかと感じました。また、”カスタムAI”のブース展示が多くあり、プロフェッショナルが判断するようなものも機械に学習させ、生産性を上げていこうという考えも強い様に感じました。その人しか出来ないということを無くすことで、個人のスキルでなく会社のノウハウとして蓄積していきたい企業が多くあるのだと思いました。その他には、VRを体験できるブース作りを行っている企業を多く見たため、VRへの関心も高いのだと思いました。

 興味を持ったブース

◆株式会社ディーオーエス 様

「SS1」という、PCなどのIT機器の情報と契約情報を視覚的に管理・運用出来るIT資産管理ソフトを紹介してもらいました。このソフトはIT資産管理だけでなく、操作記録のログ収集や、デバイスに使用制限をかけることでの情報漏洩対策、PCの使用時間に制限をかけ長時間労働を制御するなど様々な機能を有しているとのことでした。このブースは、プレゼンテーションが特に印象に残りました。商品名を何度も繰り返すことで、製品名を覚えさせて帰るという作戦に私もはまりました。「SS1」という単語が頭から離れませんでした。

現在、社会的に残業をさせない、テレワークを実施するという働き方が進められている中で、作業時間を把握して無理な仕事をさせない様にしたり、実際に作業しているかログを残すことでテレワークでも働いていることを確認できるサービスが重要視されているように感じました。そのため、SS1のようなサービスは今後もっと成長していくのではないかと私は思いました。

◆コネクシオ株式会社 様

「LINE WORKS」という企業用のチャットツールを紹介してもらいました。

一言で説明すると企業版のLINEです。LINEと同じ操作性のチャットツールで、24時間365日体制でシステムをモニタリングするなど安全性も高いということでした。LINEと同じインタフェースにすることで、基本的には誰でも操作が可能になり、運用にあたり必要になるはずの教育コストがかからないところが強みの1つだということでした。LINE WORKSとLINEの違いとしては、LINEは既読の人数しか分からないのに対して、見た人間が誰なのかまで表示してくれる機能がLINE WORKSにはありました。私自身、本社と松江など離れた場所でコミニュケーションをとることの難しさを知っているので、誰が見たのか一目で分かるという機能は便利だと感じました。また、LINEと違い会話したログはクラウド上に保存されるためその点も心配いらないということでした。今回お話しをして下さった担当の方から、LINE WORKSの契約顧客者数が約8倍にまで成長したというお話しも聞け、この様なソリューションの需要は大きいということも実感しました。

◆株式会社スタディスト 様

「Teachme Biz」という、マニュアル作成を簡単にすることで作成にかかる工数を削減するというアプリケーションを紹介してもらいました。このアプリケーションは、PCだけでなくスマートフォンやタブレットからでもマニュアルの作成が可能ということでした。その場で撮った写真や動画を簡単に編集することなども出来、直観的な操作でマニュアル作成を行えるようでした。私は、マニュアル作成をする機会が少なくはないため、スクリーンショットを簡単に連続して撮れるなどのちょっとした気遣い機能が製作者の優しさを感じられて素敵だと思いました。この様なアプリケーションがあるということは、多くの企業でマニュアル作成の工数は課題の1つであるということが知ることができました。

◆データプロセス株式会社 様

「アグリーフ」という、農園の環境状態を監視可能にするクラウドサービスや、「LED照明LAN」という電波障害やセキュリティの問題で電波が使えない環境でも通信を可能にする可視光通信システムを紹介してもらいました。アグリーフは、環境状況監視だけでなく収穫予測や水やりの自動化などの機能もあるとのことで、田舎育ちで農家の高齢化を目の当たりにしてきた私にとっては、さまざまな事を畑に行かずして行えるという所に魅力を感じました。これからの高齢化社会にはこの様なソリューションは必要不可欠ではないかと思います。LED照明LANは、可視光通信のため隣の部屋などから盗聴できないなどの利点もあるようでた。このブースは、社員の方達が昔使っていたレトロPCなどの機器を展示するという、変わったブースの作り方をしていて印象に残りました。最新のITについての説明を聞きながら、目に入る展示物は年代物というギャップが異様で面白かったです。会社が50年という長い歴史を持っているからこのような展示にしてみたというお話しも聞け、そのような柔軟な発想を見習いたいと感じました。

参考ページ:https://www.odp.co.jp/press/816.html

セミナー

「ジャパネットグループにおける生産性向上と働き方改革」

髙田 旭人 氏
ジャパネットホールディングス 代表取締役社長 兼 CEO

働き方改革についての取り組みが聞ける貴重なセミナーでした。
ジャパネットグループでは、仕事の生産性を上げ最大限のパフォーマンスを発揮すること、プライベートを充実させ人生を豊かにすること、従業員一人ひとりが成長し、世の中に貢献できる人・企業を目指すことを目標に掲げ、働き方改革を行っているようでした。製品についての会議は社員は誰でも参加可能にし意見を言える環境を作ったり、役員が会社の制度をどれだけ理解できているのかテストを行うなど、社員が働きやすい環境作りが徹底されていると感じました。そのため、育児休暇取得率100%という数字が出せるのだと納得しました。また、スキル向上として規定時間以内に指示された作業が完了しない場合は再復習など徹底した社員の教育体制やノウハウの共有はどの企業も見習った方が良いのではないかと思いました。

「変なホテル」のロボット活用が示すイノベーションの可能性

富田 直美 氏
hapi-robo st 代表取締役社長 

タイトルや事前の情報から想像していた内容とは違いましたが、得るものが多いセミナーでした。
まず、“考えていない人が多い”という喝を入れるような話から講演が始まるという驚きのスタートでした。
良いと言われるやり方を模倣するだけで考えることが少なくなっているなど、普段の自分達の行動に疑問を投げ掛けるお話しはなかなか聞けるものではないため、このセミナーがとれて良かったと思いました。
富田社長の、経験して判断するという考えは確かに現代日本には少しかけているのかもしれないと思いました。自分で実践して遠回りしてでも自分なりの答えに辿り着けばきっと忘れることはないし、本物の自分の力と呼べるものになるのだと思いました。経験は本当に強い武器となると思いますし、他の人間の考えを鵜呑みにせず自分で判断するという気持ちは大事だと思いました。若いうちからこのセミナーを聞け、考えるきっかけにできたことはよかったです。

「MBT研究所による出口戦略およびSociety5.0の実現」

梅田 智広 氏
奈良県立医科大学 産学官連携推進センター、MBT研究所 教授 

最近の医療とITの関係を知ることができるセミナーでした。
これからの時代は病気になってから治療をするのではなく、病気になる前に予防するという考えが大切になってくるとのことでした。しかし、予防が必要だからといっても毎日病院に通うなどは現実的ではないため、IoTデバイスを利用して体調管理を行うことが進められているようでした。バイタルデータだけでなく、そのデータを取った際の環境や、場所そのもののデータも合わせて取ることでより精度の高い情報となるというお話も聞くことができました。また、聞いていて興味深かったのが、自分の健康状態のデータや改善するための知識を与えたら自ら進んで健康的な生活を意識するようになった人が多いということです。
人間が不健康になるのは、もしかしたら自分の状況を客観的に把握する機会がなく、健康に過ごすための行動に関しての知識も少ないからなのかもしれないなと思いました。
どの分野においても、知っているということは大きな力になると私は感じました。
今後は、デバイス外来というものも考えられているようで、そこではデバイスを使って待ち時間に歩行のデータ取得などを行うことで時間短縮に繋げるなど、今までとは違う医療の形態もみ据えられているのだと知れました。

所感

今回は大きな展示会を見学できる貴重な機会をいただき、ありがとうございました。
私は展示会を見学して、次の4つのことを知ることができました。

  • コミュニケーションツールや遠隔のPCのログ収集・管理ツールなどのソリューションを用いることで、テレワークを想定しながら残業をさせない体制作りを社会的に目指していること。
  • 脆弱性診断の徹底や、個人の危機管理能力をためすための不審メール送付テストを実施するなどのソリューションで情報流出のリスクが大きくなった情報化社会で生き抜く強さを持つ必要があること。
  • AIを積極的に用いることで、作業の効率化や個人の知識やスキルを会社のノウハウとしようとする動きがあること。
  • 今後の医療は病気になる前の予防医療が重要になってくること。

普段の業務では関わらない分野の話も聞くことができ、地方では味わえない体験が沢山できたのではないかと私は思っています。

イベントスタッフの方々も優しく、セミナーの待ち時間にもいろいろお話しをしてもらえるなどブースを回るのとはまた違った楽しい時間も過ごすことができました。また、抽選会が行われるなど、来場者を退屈させない気遣いも良いと感じました。余談ですが、その抽選会で私は“たまごギフト券”が当たりました。

今回展示会に行き、最先端技術に触れられただけでなくブースの見せ方についても学ぶことができたため、とても有意義な時間を過ごせたと感じています。ただ唯一心残りだったことは、参加したいセミナーの時間が重なっていて片方を選ばなければいけなかったことです。異なるイベントが同時開催しているため、仕方無いとは分かっているのですが、本当に残念でした。今回見学に行って得た知識や経験を今後の業務に生かしていけるよう頑張ります。

ITOC記入情報

今回の報告書は、「平成30年度若手エンジニアITトレンド調査委託企業の募集」として島根県内IT企業に依頼しました。

このページのトップへ