しまねソフト研究開発センターでは、平成29年にセコム⼭陰株式会社とデータ活用について共同研究を行いました。ここでは、セコム⼭陰株式会社が保有する労務データや⽇常⾏動(PCのログ等)のデータについて、これらのデータをどのよう活用することができるか検討を行いました。
以下、この取り組みについて、セコム⼭陰株式会社からのレポートを紹介します。

1.課題設定

研究テーマを決めるにあたり、解決したい課題が何で、誰が困っている課題なのか、何が実現できて何がメリットかなどについて、ワークショップの手法を用いてディスカッションに時間をかけました。

その結果、メンタルヘルスに関するデータ分析が共同研究の方針となり、しっかりと時間をかけることで、「何のために取り組むのか?」、「本当に解決したい課題は何か?」ということを双方の共通理解として、共同研究方針を定めることができました。

2.仮説の構築

企業において、従業員の心と体を合わせた健康状態は、日々の勤務状況や業務内容等の勤務時間中の行動と強い相関関係があるのではないかという仮説を立てました。これらを数値化し、分析することで、健康状態に影響する特微量を導き出し、機械学習で相関関係を示すことができると想定しました。

今回の取組みでは、それらに必要なデータ(もしくは利用できるデータ)は何であるかという検討と、データの収集、分析手法の検討を行い、機械学習を適用していくことを目標としました。

3.必要なデータの検討     

検討の結果、日頃の業務管理において記録するデータと業務を遂行する中で自動的に収集されるデータに加え、年齢、性別、家族構成、役職などの個人情報を組み合わせて用いることとし、データ収集に進みました。

4.データ収集

今回、収集する必要があると考えられるデータには、従業員の個人情報が含まれることから、それらのデータを利用する際に注意すべきことや、やらなければならないことを把握するため、社内規定のチェックや法規制などの調査を行いました。

その結果、個人情報を扱うにあたって必要な処理や従業員からの個別の同意を得る必要があることがわかり、同意を得るための手続きを検討した結果、共同研究の期間中でのデータ収集が困難であることがわかりました。

5.今回の取組みの感想

今回の共同研究の期間内(平成29年7月~12月)では、データ分析までは至らなかったものの、課題の設定手法、扱うデータの収集を行うための検討を行うなかで、新たな気づきを得られました。以下、プロジェクト参加メンバーの感想を記載します。

<プロジェクト参加メンバーの感想>

  • 今回は様々な課題によりデータを収集することが出来ず、機械学習を適用するまでに至りませんでした。だからこそ「データ選定と収集は出来るだけ早く取り掛かること」が重要であることを理解しました。
  • 機械学習を行う為には、データが必要不可欠であり、データを即座に利用出来ない事で、他社に先を越されてしまう等、ビジネスチャンスを失ってしまう可能性もあります。今回の共同研究で機械学習に触れる機会をいただき、機械学習における課題抽出手法や課題解決への取り組み方等を試行錯誤しながら学ぶ事ができました。
  • しまねソフト研究開発センターとの共同研究では、技術的な知識習得や情報交換に留まらず、「研究」という切り口から企業や組織の強みや弱みを再認識しました。そして、今何をしなければならないのかなどを深く考える機会になり、企業や組織のレベルの底上げに大きく貢献したと思っております。

<しまねソフト研究開発センター 担当研究員からのコメント>

しまねソフト研究開発センター 専門研究員 木村 忍

今回の取り組みは、非常に学びの多い取り組みになりました。機械学習を行うにあたり、データの入手が不可欠であることは当然として、そのデータを入手する難しさをあらためて実感させられました。

また、データを有効活用するという考えから始まったものはデータから課題を探してしまいがちですが、課題の抽出から始めると解決に必要なデータが何かを考えるという流れになり、より深く検討することができました。

課題解決に利用できるデータと必要なデータを入手するためにしなくてはならないことをあわせて考えるよう意識づけを行います。

お問合せ先

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